オプション: ブラック=ショールズ式の考察 |
まず、将来のT時点の株価をSTとおく。ブラック=ショールズ式では、 STが対数正規分布にしたがうものと仮定し、その確率密度関数は式(5-11)で 表された。このとき、ln(ST)は、平均u、分散σ2の正規分布に したがうことになる。ところで、現在の株価をS0とすると、ST は、以下の式であらわすことができる。
式(5-44)は、現時点から時点Tまでの株価の伸び率に、現時点の株価をかけたものが T時点の株価であると言っているに過ぎない。ここで、式(5-44)の両辺の対数をとる。
この式の左辺は前述のように、平均u、分散σ2の正規分布にしたがう。 この式の両辺からln(S0)を引くと、ln(S0)は定数であるから、 以下の式は分布の中心が負側にln(S0)だけ移動した正規分布、すなわち 平均u-ln(S0)、分散σ2の席分布にしたがう。
ちなみに、ln(ST/S0)は、連続複利ベースの現時点から 時点Tにかけての株価の伸び率である。つまり、期間Tの株価の伸び率が、平均 u-ln(S0)、分散σ2の正規分布にしたがうということである。 さらに、1年間のσをσanとすると、式(5-40)の関係がある。よって、 ブラック=ショールズ式(5-42)、及び式(5-43)のσanには、期間1年間での 株価の伸び率の標準偏差を代入すればよい、ということになる。
x≧0のとき | ![]() |
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x<0のとき | ![]() |
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、 | ![]() |
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、 | ![]() |
、 | ![]() |
これをln(S0)について解くと、式(5-49)が得られる。
よって、期間Tの株価の伸び率がしたがう正規分布の平均u-ln(S0)は、 次のようになる。
以上をまとめて、期間Tの株価の伸び率は、以下の正規分布にしたがう。
平均 | 分散 |
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現在の株価 | 100万円 |
権利行使価格 | 95万円 |
非危険利子率 | 3% |
ボラティリティ | 10% |
オプション期間 | 半年 |
上記の条件のヨーロピアン・コール・オプションの価格(C)は、以下のように して計算することができる。
同様に、ヨーロピアン・プット・オプションの価格(P)は、以下の通りである。
以上より、コール・オプションの価格は7万555円、プット・オプションの価格は 6411円であることが分かる。
問題番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
現在の株価 | 105万円 | 105万円 | 105万円 | 105万円 | 105万円 | 105万円 | 105万円 |
権利行使価格 | 95万円 | 95万円 | 95万円 | 95万円 | 95万円 | 95万円 | 95万円 |
非危険利子率 | 5% | 5% | 5% | 4% | 6% | 5% | 5% |
ボラティリティ | 20% | 20% | 20% | 20% | 20% | 10% | 30% |
オプション期間 | 3ヶ月 | 半年 | 1年 | 半年 | 半年 | 半年 | 半年 |