金融工学基礎

<題目>

数学とコンピュータを用いた金融商品の捉え方

<講義内容>

 金融工学は、金融取引の開発やリスク評価などを研究する学問であり、派生商品をはじめとする近年の金融取引の高度化をもたらしつつ、発展を続けている分野である。経済学、数学、統計学、情報工学など、多くの学問分野にまたがる学際的特徴を有する。ここで醸成された知識や技術は、社会全般における人や組織間のより複雑なやり取りに関わる問題に対しても有用と考えられ、様々な分野での応用が進んでいる。
 本授業は、金融工学の基礎として、基本的な金融商品を数理的に捉えるための考え方と、その価値やリスクを評価するに際してのコンピュータの利用方法を学ぶ。特に、コンピュータを用いて実際に計算を行う点を重視し、表計算ソフトの利用に加え、高次の代数方程式を解くためのアルゴリズム(ニュートン・ラフソン法など)や、解析的に解が得られない(言わば、紙と鉛筆で解くことができない)場合の数値計算法(モンテカルロ法)も取り上げ、プログラムを作成する演習を行う。
 金融工学で用いられる数学やコンピュータ技術は、その先端においてますます洗練され、難解さを増しているように思われる。本授業で取り上げる内容は、そうしたより高度な金融工学の基礎をなすものである。また、金融以外の分野への応用を考えるにあたっても、十分な理解が必要な部分である。受講者においては、本授業をさらなる応用を指向した出発点と位置付けるとともに、意欲的に取り組まれることをお願いしたい。

<授業計画>

  1. 金融商品の種類と特徴
  2. 債券:現在価値
  3. 債券:内部収益率
  4. 高次代数方程式の解法
  5. 債券:デュレーション
  6. 金利:種類
  7. 金利:期間構造の構築
  8. 金利:期間構造と現在価値の変動リスク
  9. 金利:オプション
  10. 株価変動モデル
  11. ブラック・ショールズ式の導出
  12. モンテカルロ法
  13. VaR:概念と方法
  14. VaR:分散共分散法
  15. VaR:モンテカルロ法